「AIを活用した開発環境を構築したいけど、設定が複雑そう…」そんな悩みをお持ちではありませんか?
Claude Code、MCP(Model Context Protocol)、Amazon Bedrockを組み合わせることで、VS Code上で強力なAI開発環境を構築できます。本記事では、これら3つの技術を連携させる具体的な手順を5つのステップで詳しく解説します。
この記事を読むことで、最新のAI開発ツールを活用した効率的なコーディング環境を手に入れ、開発生産性を大幅に向上させることができるでしょう。
Claude Code、MCP、Bedrockとは?基本概念を理解する
まず、これら3つの技術の基本概念を理解しましょう。
Claude Codeとは
Claude Codeは、Anthropic社が開発したAI搭載のコーディングアシスタントです。ターミナル上で動作し、コードベースを理解して開発を加速させる機能を提供します。
主な機能:
- コードの自動生成・編集
- バグの検出・修正提案
- コードレビューの自動化
- IDE統合(VS Code、JetBrains)
MCP(Model Context Protocol)とは
MCPは、AIモデルが外部のデータソースやツールと安全に接続するためのオープンスタンダードです。AIアプリケーション用の「USB-C」のような統一規格と考えることができます。
MCPの特徴:
- クライアント・サーバー・アーキテクチャ
- ツール、プロンプト、リソースの標準化
- セキュアな双方向通信
- プラグイン的な拡張機能
Amazon Bedrockとは
Amazon Bedrockは、AWSが提供する完全マネージド型の生成AIサービスです。Claude、Llama、Titanなど複数の基盤モデルにAPIアクセスできます。
Bedrockの利点:
- エンタープライズグレードのセキュリティ
- スケーラブルなインフラ
- 従量課金制の料金体系
- 複数モデルの統一API
事前準備:必要な環境とアカウント設定
Claude Code、MCP、Bedrockの連携を始める前に、以下の準備が必要です。
必要なソフトウェア
- Visual Studio Code(最新版)
- Node.js(v18以上推奨)
- Python(3.8以上、MCPサーバー用)
- AWS CLI(v2推奨)
必要なアカウント・権限
- Anthropic ClaudeのAPIアクセス
- AWSアカウント(Bedrockアクセス有効化済み)
- 適切なIAM権限(BedrockのInvokeModel権限)
VS Codeの設定確認
VS CodeでMCP機能を有効化します:
// settings.json
{
"chat.mcp.enabled": true,
"chat.mcp.discovery.enabled": true
}
ステップ1:Claude CodeのVS Code統合設定
まず、Claude CodeをVS Codeに統合します。
インストール手順
- VS Codeの統合ターミナルを開く
Ctrl+`
(Windows/Linux)またはCmd+`
(Mac) - Claude Codeを実行
ターミナルで以下のコマンドを実行:
claude
このコマンドにより、VS Code拡張機能が自動的にインストールされます。
VS Code統合機能の設定
Claude Code統合後、以下の機能が利用可能になります:
- クイック起動:
Cmd+Esc
(Mac)/Ctrl+Esc
(Win/Linux) - ファイル参照ショートカット:
Cmd+Option+K
(Mac)/Alt+Ctrl+K
(Win/Linux) - 差分表示:IDE内でコード変更を直接表示
- 診断情報共有:リント・構文エラーの自動共有
設定の確認
統合が成功したかを確認:
# VS Code統合ターミナルで実行
claude /config
差分ツールを「auto」に設定して、IDE自動検出を有効化します。
ステップ2:MCPサーバーの設定と構成
次に、MCPサーバーをVS Codeで設定します。
ワークスペース設定ファイルの作成
プロジェクトルートに.vscode/mcp.json
ファイルを作成:
{
"inputs": [
{
"type": "promptString",
"id": "aws-region",
"description": "AWS Region",
"password": false
},
{
"type": "promptString",
"id": "aws-access-key",
"description": "AWS Access Key ID",
"password": true
}
],
"servers": {
"fileSystem": {
"type": "stdio",
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-filesystem", "${workspaceFolder}"]
},
"fetch": {
"type": "stdio",
"command": "uvx",
"args": ["mcp-server-fetch"]
},
"github": {
"type": "stdio",
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
"env": {
"GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "${input:github-token}"
}
}
}
}
MCPサーバーの追加
コマンドパレット(Ctrl+Shift+P
)から「MCP: Add Server」を実行し、必要なサーバーを追加できます。
サーバーの管理
「MCP: List Servers」コマンドで、設定済みサーバーの管理が可能です:
- Start/Stop/Restart
- Show Output(ログ確認)
- Show Configuration
- Browse Resources
ステップ3:Amazon Bedrock APIの設定
Claude CodeでBedrockを使用するための設定を行います。
Bedrockモデルアクセスの有効化
- Amazon Bedrockコンソールにアクセス
- 左メニューの「Model access」を選択
- 必要なClaudeモデルのアクセスを申請:
- Claude 3.7 Sonnet
- Claude 3.5 Haiku
- 承認待ち(通常は即座に承認)
AWS認証情報の設定
以下のいずれかの方法で認証情報を設定:
方法1:AWS CLI設定
aws configure
# AWS Access Key ID を入力
# AWS Secret Access Key を入力
# リージョンを入力(例: us-east-1)
方法2:環境変数設定
export AWS_ACCESS_KEY_ID="your-access-key"
export AWS_SECRET_ACCESS_KEY="your-secret-key"
export AWS_REGION="us-east-1"
Claude Code Bedrock設定
Claude CodeでBedrockを使用するための環境変数を設定:
export ANTHROPIC_USE_BEDROCK=true
export ANTHROPIC_BEDROCK_REGION="us-east-1"
# モデル指定(オプション)
export ANTHROPIC_BEDROCK_MODEL="us.anthropic.claude-3-7-sonnet-20250219-v1:0"
export ANTHROPIC_BEDROCK_FAST_MODEL="us.anthropic.claude-3-5-haiku-20241022-v1:0"
IAM権限の設定
以下のポリシーをIAMユーザー/ロールに適用:
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [
{
"Effect": "Allow",
"Action": [
"bedrock:InvokeModel",
"bedrock:InvokeModelWithResponseStream",
"bedrock:ListInferenceProfiles"
],
"Resource": [
"arn:aws:bedrock:*::foundation-model/anthropic.*",
"arn:aws:bedrock:*:*:inference-profile/*"
]
}
]
}
ステップ4:VS CodeでのMCPツール活用
設定完了後、VS CodeでMCPツールを活用します。
エージェントモードの使用
- チャットビューを開く:
Ctrl+Alt+I
(Win/Linux)/Cmd+I
(Mac) - エージェントモードをドロップダウンから選択
- ツールボタンをクリックして利用可能ツールを確認
- 必要なツールを選択/非選択
MCPリソースの追加
チャットで「Add Context > MCP Resources」を選択し、MCPサーバーからリソースを追加できます。
MCPプロンプトの実行
チャット入力ボックスで/
に続けてプロンプト名を入力:
/mcp.github.create-pr
ツール確認とセキュリティ
ツール実行時は確認ダイアログが表示されます。継続オプションで以下を選択可能:
- 現在のセッションで自動確認
- ワークスペースで自動確認
- すべての実行で自動確認
ステップ5:統合環境の動作確認とテスト
設定した環境が正しく動作するかテストします。
Claude Code動作テスト
VS Code統合ターミナルで以下をテスト:
# Claude Code起動テスト
claude
# Bedrock接続テスト
claude "Write a simple Hello World function in Python"
MCP機能テスト
MCPサーバーの動作確認:
- サーバーリスト確認:「MCP: List Servers」実行
- リソース確認:「MCP: Browse Resources」実行
- ツール動作確認:エージェントモードでファイル操作依頼
統合動作テスト
実際の開発タスクで統合機能をテスト:
テストシナリオ例:
- 既存コードの改善提案
- 新機能の実装
- バグ修正の提案
- コードレビューの実行
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法を紹介します。
Claude Code関連の問題
問題:VS Code拡張がインストールされない
- 解決策:VS Code統合ターミナルから実行しているか確認
code
コマンドがPATHに設定されているか確認- VS Codeに拡張機能インストール権限があるか確認
問題:Bedrock接続エラー
- 解決策:AWS認証情報が正しく設定されているか確認
- リージョン設定が適切か確認
- IAM権限が適切に設定されているか確認
MCP関連の問題
問題:MCPサーバーが起動しない
- 解決策:「MCP: List Servers > Show Output」でログ確認
- 必要な依存関係(Node.js、Python等)がインストールされているか確認
- 設定ファイルの構文エラーがないか確認
問題:Docker使用時の問題
- 解決策:デタッチモード(
-d
オプション)を使用していないか確認 - コンテナが適切に動作しているか確認
権限・認証関連の問題
問題:「on-demand throughput isn’t supported」エラー
- 解決策:インファレンスプロファイルIDを使用
- 利用可能なモデルを確認:
aws bedrock list-inference-profiles --region your-region
実践的な活用例とベストプラクティス
構築した環境の効果的な活用方法を紹介します。
日常的な開発フローでの活用
コード生成・修正
- Claude Codeで要件を説明してコード生成
- MCPファイルシステムサーバーで関連ファイル参照
- VS Code差分ビューで変更内容確認
バグ修正・リファクタリング
- エラー診断情報がClaude Codeに自動共有
- MCPリソースで関連ドキュメント参照
- 修正提案をIDE内で直接確認
チーム開発での活用
コードレビュー自動化
- MCP GitHubサーバーでプルリクエスト作成
- Claude Codeでコード品質チェック
- 自動的なドキュメント生成
設定共有
.vscode/mcp.json
をバージョン管理に含める- チーム共通のMCPサーバー設定
- プロジェクト固有のAI開発環境
パフォーマンス最適化
モデル選択の最適化
- 高速作業:Claude 3.5 Haiku
- 複雑な作業:Claude 3.7 Sonnet
- コスト重視:適切なモデル選択
リソース管理
- 不要なMCPサーバーは停止
- ワークスペース固有の設定活用
- セキュリティ設定の適切な管理
まとめ
本記事では、Claude Code、MCP、Amazon Bedrockを統合したAI開発環境の構築方法を5つのステップで解説しました。
構築のポイント:
- 段階的な設定:各コンポーネントを順序立てて設定
- 設定の共有:チーム開発での効率化
- セキュリティの考慮:適切な権限管理
- 継続的な最適化:使用状況に応じた調整
これらのツールを組み合わせることで、従来の開発フローを大幅に効率化し、より創造的な開発作業に集中できる環境を構築できます。
最新の技術動向を追いながら、自身の開発環境を継続的に改善していくことで、AI時代の開発者として競争優位性を保つことができるでしょう。
参考リンク: