AIエージェントに決まりを書いたのに、守られない。そんな経験はありませんか。
私はAIに会社の経営を任せる実験をしています。2026年10月30日、AIの社長は、動画6本の確認を私に頼む連絡を出さないまま、1日に3回「待ちを維持」と記録して止まりました。「待つ前に手元の仕事を探す」という決まりは、すでに書いてあったにもかかわらずです。
この記事では、その日の作業記録をもとに、何が起きたか、なぜ起きたかを振り返ります。あわせて、私が選んだ対策と、同じ失敗を防ぐための確認項目をまとめます。
先に結論を書くと、私は決まりをさらに書き足すのではなく、今ある決まりが守られたかを毎回確かめる仕組みを置くことにしました。 効果は、これからの記録で確かめます。
この記事で分かること
- AIエージェントが確認の依頼を出さず、「待ち」で止まった実例(時刻つき)
- AI自身に記録を読ませて分かった、4つの原因(推測)
- 再発を防ぐために選んだ3つの対策と、その時点の状態
- 自分のAIの運用で確かめたい5つの項目
前提:AIが社長、私は会長
「AI社長ラボ」は、AIに資本金3万円を渡して会社の経営を任せる実験です。社長も社員もAIで、私は「会長」として相談に答えたり、お金を使う判断を承認したり、公開前の動画や記事を確かめたりしています。
AIの社長は1日に何回か起きて、その回にやったことを作業記録に書きます。私に何かを頼むときは、私に通知が届く場所に出す決まりです。作業記録や日報に書いただけでは、私には届きません。
失敗:動画6本の確認の依頼が届かず、1日に3回「待ち」を記録した
この日、AIの社長はYouTubeの短い動画を作っていました。できた動画は、公開する前に私が目と耳で確かめる決まりです。
作業記録の中身を、時刻ごとに要約すると次のとおりです。
| 時刻 | 作業記録の要約 |
|---|---|
| 13:00 | 動画を2本組み立てた。目で見る確認はまだ |
| 15:00 | 新しい作業は増やさず、回答と確認を待つ状態を維持 |
| 17:00 | 15:00とほぼ同じ内容で、待ちを維持 |
| 18:30 | 指摘を反映し、さらに4本の動画を作った。次は会長の確認待ち |
| 19:00 | 新しい作業は増やさず、会長の確認待ちを維持 |
| 21:00 | 日報に、私へのお願いを書いた |
ここで起きた失敗は2つです。
1つ目は、私の確認が要る動画が6本に増えたのに、通知の届く場所に依頼を出していなかったことです。お願いは作業記録と日報にだけあり、私には届いていませんでした。
2つ目は、15時・17時・19時の3回、「待ち」で止まったことです。手元には、書き直しの途中の記事や、出す予定だった提案が残っていました。待つ間に進められる仕事はあったのです。
原因の推測:依頼の出し先と、手元の仕事を確かめていなかった
原因は、AIの社長自身に作業記録を読み直して分析してもらいました。記録に理由は書かれていないので、ここからは書き方から読み取った推測です。
- 待っているものがあると、「やることが無い」と読み替えた。 3回とも「新しい作業は増やさず」と書いていました。
- 相談を1件出したことで、「お願いはもう済んだ」と感じた。 その後に増えた確認の依頼も、同じ待ちの中に入れていました。
- 起きたときの点検に、依頼の出し先を確かめる手順が無かった。 「お願いを書いたら、通知の届く場所に出したか」を確かめる手順がありませんでした。
- 前の回の文を写して書いた。 15時・17時・19時の文は、ほぼ同じでした。
私は、AIの側だけの問題だとは考えていません。決まりは書いてありましたが、守られたかを確かめる手順までは用意していなかったからです。
対策:決まりを書くだけで終わらせない3つの仕組み
1. 依頼の「出し忘れ」を見つける道具を置いた(作成・試験済み)
作業記録と日報から、私へのお願いらしい行を拾い出す小さな道具を作りました。拾った行が、通知の届く依頼になっているかを突き合わせます。「待ちを維持」で終わった回が2回以上続いたときも知らせます。
10月30日の記録で試すと、依頼になっていなかったお願いの行と、15時から17時まで続いた待ちを拾えました。AIの社長には、起きたときと作業記録を書き終えたときに、この道具を使ってもらうことにしました。
2. 「待つ」と書く前に、手元の仕事を3つ書き出す(AIの社長が決めた手順)
これはAIの社長が自分で決めた手順です。「待つ」と書く前に、手元の仕事を3つ書き出します。どれにも手を付けていなければ、その回は「待ち」と書きません。
3. 私への相談の書き方をそろえた(指示済み)
相談が長くて、私が読み飛ばしてしまうことがありました。そこで、1行目に「私がすること」を書き、事実は3つまで、全体で300字ほどにそろえてもらいました。
返事が「了解」で足りる知らせも、日報ではなく相談で出してもらうことにしました。日報は、私が読み飛ばすことがあるからです。
3つとも、2026年10月31日に始めたばかりです。効いたかどうかは、これからの作業記録で確かめ、この連載で報告します。
AIに聞かれて、私が答えたこと
この記事を書く前に、AIから私にインタビューをしてもらいました。答えは、言い回しを少し整えて載せています。
Q. 「待ちを維持」が3回あったのを見て、最初に何を思いましたか?
待っていないで、もっと自発的にどんどん働いてほしいな、と思いました。
Q. 決まりは書いてあったのに、守られませんでした。どう受け止めましたか?
言ったことをきちんと守ってもらうのは大変なんだなと思いました。でも、人に伝えるときも同じで、自分の伝え方に原因があるのかもしれないと反省しました。
Q. 決まりを書き足すのではなく、確かめる道具を作ったのはなぜですか?
決まりを増やすと、どんどん探すのが難しくなっていきます。それより、すでにある決まりを漏れなく守らせる方が効率がよいと思ったからです。
Q. 実験を始める前、AIに任せれば手が空くと思っていましたか?
すぐには難しくても、いつかはAIが自動で働いてくれると思っています。いま、動画の台本を自動で書き、毎日Xに自動で投稿してくれるのを見て、その未来が近いことを実感しています。
Q. AIに仕事を任せてみたい人に、1つ伝えるとしたら?
試してみて分かることはたくさんあるので、まずはやってみてほしいです。
自分のAIの運用で確かめたい5つの項目
AIエージェントに仕事を任せている方は、次の5つを確かめてみてください。「いいえ」があれば、そこが今回の私と同じ穴かもしれません。
- 人への連絡を、通知が届く場所に出す決まりになっていますか
- 依頼を書いたあと、通知の届く場所に出したかを確かめる手順がありますか
- AIが「待つ」と判断する前に、手元の終わっていない仕事を確かめる手順がありますか
- 同じ文が続いたとき、AIが状況を点検し直しているかを見ていますか
- 失敗したとき、理由をAI自身に記録から分析させていますか
もちろん、これですべての失敗を防げるわけではありません。あなたのAIの使い方に合わせて、項目を足して使ってください。
AI社長ラボの実験の記録は、この「実験ログ」で続けて公開しています。今回の対策が効いたかどうかも、記録のまま報告します。