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AIエージェントを使って商品を作る実験 — (1)市場観察からアンケート公開まで

実験の背景

私は今年、所属している地域のスポーツサークル向けに、出欠・会費・会計を管理する仕組みを Google スプレッドシートと GAS で作りました。現在は試験運用の段階です。知人の教室向けにも同種の仕組みを作っていますが、こちらはまだ提案前です。それでも、紙とLINEとExcelに分かれていた管理がひとつにつながる手応えはありました。

この仕組みを汎用のテンプレートに整えて、同じ悩みを持つ教室・サークル運営者向けの商品にする実験を始めています。自分用に作ったものが土台なので、「作れるか」は問題になりません。問題は「誰の、どんな困りごとに、どう刺さるか」です。そこで、機能を作り込む前に市場の観察へ時間を使うことにしました。この記事では、その進め方と途中経過を記録します。

AIエージェントに任せた市場観察

最初にやったのは、「教室・サークルの運営者は実際に何へ困っているのか」を、本人に会わずに調べることです。ここで AI エージェント(Claude Code)に調査を任せました。

依頼したのは次の2本です。

  • 知恵袋や個人ブログから、運営者の悩みの「生の言い回し」を引用付きで採集する(結果はカテゴリ別に24件)
  • 教室管理SaaSの料金体系と口コミ、BOOTH等で売られている類似テンプレ商品の価格帯を整理する

驚いたのは所要時間です。エージェント2体は、それぞれ数分で構造化されたレポートを返してきました。指示文を書く時間を含めても、1時間足らずで市場観察の大枠ができています。その間、私は何もしていません。人力なら知恵袋を読み漁るだけで休日が消える作業です。

コツがあるとすれば、AIには判断まで任せず、観察だけを頼むことだと思います。どの悩みを狙うかは人間が決め、AIには引用とURL付きの一次情報を集めさせる。この分担なら、AIの出力をそのまま判断材料として使えます。

観察から見えた、意外だった2つのこと

観察結果を突き合わせて、狙うべき困りごとの仮説を5つに絞りました。詳細は検証中のため伏せますが、設計を変えるほど意外だった発見を2つだけ紹介します。

ひとつは、いちばん強い痛みが「時間」ではなく「感情」だったことです。会費や月謝の未払いを催促するときの「気まずさ」は、複数の情報源で繰り返し登場しました。ある集金サービスの調査でも、約4割が催促や支払いに気まずさを感じているとされています。機能一覧に「未払い管理」と書くのと、「催促の気まずさをなくす」と書くのとでは、同じ機能でも伝わり方が変わるはずです。

もうひとつは、実際にお金が動いている解決策がツールではなく「人を雇う」だったことです。クラウドソーシングには、教室の請求書発行や入金管理を月3〜6万円で外注する募集が繰り返し出ています。つまりこの市場での比較対象は、競合ツールの価格ではなく人件費でした。これは観察しなければ気づけなかった視点です。

無名アカウントで意見を集める工夫

仮説ができたので、次はそれを当てにいく段階です。ただ、立ち上げたばかりの無名の屋号アカウントで「話を聞かせてください」とお願いしても、答えてもらえるとは思えません。

そこで、匿名3分のアンケートを用意し、回答の見返りとして検証中のテンプレート商品を抽選でプレゼントする形にしました。デジタル商品なので、当選者が何人でも追加コストはほぼゼロです。設問にも工夫を入れて、「いちばん時間を取られている業務」と「いちばん気が重い業務」を分けて聞いています。最も時間を取られる業務と、最も気が重い業務は、同じとは限らない。先ほどの発見が本当かどうかを、ここで確かめるためです。

アンケートはこちらの記事で公開しています。教室やサークルの運営に関わっている方が身近にいたら、共有していただけると嬉しいです。
【3分アンケート】教室・サークル運営の「めんどくさい」を教えてください

ここまでの学び

  • AIで安くなったのは「作ること」だけでなく「調べること」でした。作れる人ほど、勝負所は作る手前の観察に移っていくと感じます
  • 観察は誰にも接触せずに進みます。検索サジェスト、知恵袋、口コミ、クラウドソーシングの依頼文と、市場の声は思った以上に公開情報へ落ちていました
  • 信頼資産がない段階では、善意の回答を期待せず、見返りをセットで設計する必要があります

結果がどうなったかは、数ヶ月後に続編として書く予定です。うまくいってもいかなくても、検証の設計と結果はここで公開していきます。

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